コペンハーゲンのお宅訪問(その1)―歴史的建築のリノベーション住宅に住まうライフスタイル

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コペンハーゲンのお宅訪問(その1)―歴史的建築のリノベーション住宅に住まうライフスタイル

2013年12月のことですが、私(丹沢)は、当時働いていた会社の研修旅行で、デンマークのコペンハーゲンに3日半、滞在する経験をしました。 事前に、総勢8名のチームメンバーで、どの国を行先にするかを話し合う機会がありました。行先をデンマークに決めたのは、「大量消費・使い捨ての生活様式とは違うらしいよ」という、海外通のメンバーからの推薦が決め手になりました。

また、デンマークは高い「国民1人当りの実質GDP(国民総生産)」と、高いレベルでの社会保障制度を両立させており、財政状況も健全だとの評判です。 一方、わが国では、資源の大量消費スタイル(例えば相続税対策の賃貸住宅が、大量に供給され続けることもその一つです)、特例公債(≒国の歳出が歳入を超えた額)が増え続ける財政、少子高齢化に伴う今後の社会保障不安など、課題が山積みです。そのため、将来不安を抱える私たち現役世代にとって、デンマークは注目に値するという意見出ました。

主な行先としては、歴史的建築を利用したリノベーション住宅の住まい手を訪問すること、著名な家具メーカーである「フリッツ・ハンセン社」を見学することが決まりました。

この旅行での体験は、私のその後の仕事に、大きな影響を与えることになりました。そこで、この旅行で見聞きしたことを、少しご紹介したいと思います。

私たち一行は、旅行初日、コペンハーゲン駅からほど近い歴史的街区にある、共同住宅の一室にお邪魔しました。

■ここで、コペンハーゲンについてのTIPS: デンマークの首都で、人口47万人の港湾都市。歴史上、都市成立初期の目立った出来事としては、1167年に「ヴァルデマール1世」という人が、ここに城を建築したそうです。(東京でいうと、太田道灌が1457年に江戸城を築城したようなものですね。)

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訪問した建物の外観は、概ねこのような感じです。(写真はお邪魔したのとは違う建物ですが。) 木造半地下1階・地上4階建てで、半地下の店舗スペースがあります。外部の仕上げは塗装仕上げです。エレベーターやエントランスホールはなく、いわゆる階段室型の建物です。 建物はロの字型の街区で、道路に面して配置されており、裏側は共同の中庭に面しています。

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訪問したお宅は、1798年に建築された、やはり木造半地下1階・地上4階の共同住宅の3階に位置する、専有面積95m²くらいのお宅です。(1798年は、日本では江戸時代、明治維新の70年前です)。 第二次世界大戦が終わった1945年に、街区全体が文化財保護地区に指定されました。 1978年から1980年にかけ、修復とリノベーションが行われ、現代の生活様式に合った住居として整備されたといいます。

住み手のKさんは、酪農を専門とする科学者で、ご主人と二人暮らしです。推定50歳代くらいの方でした。1999年に、中古マンションとしてこのお宅を購入。入居前に、DIYで、ご夫婦で床のフローリングを貼り、壁と天井の塗装を行ったそうです。DIYでの作業には、何週間かを要したとのお話でした。

1978年のリノベーションの前は、この建物は単身者向けの狭小住戸からなっており、トイレやキッチンは屋内にはなく、中庭に共同の設備があったそうです。(日本でいうと、江戸時代の長屋のようなものでしょうか。)1978年のリノベーションでは、3戸の狭い住宅を、1戸の住宅にして、キッチンやトイレ、シャワー設備を新たに設け、専有面積が95m²くらいの、現在のようなお宅になったそうです。

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この建物では、文化財に住むということで、例えばサッシを取り換えてはいけないなどの制約があるそうです。サッシは木の枠でできています。デンマークは海流のおかげで緯度のわりに温暖とはいえ、東京と比べ若干寒く、昔の木枠サッシのみでは冬はやはり寒いので、同じようなデザインの木の窓を内側に設けて、2重窓にしています。

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リビングルームや書斎を見せて頂いたところ、大きなダイニングテーブル、ナナ・ディッツェルという著名なデザイナーの椅子、壁の美しい模様が印象的です。規則正しい配置の、雰囲気のある窓や、重厚なドアは、建物全体とともに歴史を感じさせます。 飾られている絵や、家具や小物の一つ一つが、建物に合っている印象です。豪華というのとは少し違うのかもしれませんが、洗練された、現代的な美意識を感じました。

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(次回に続きます。)