コペンハーゲンのお宅訪問(その2)―歴史的建築のリノベーション住宅に住まうライフスタイル

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コペンハーゲンのお宅訪問(その2)―歴史的建築のリノベーション住宅に住まうライフスタイル

Kさんに、ご自身のライフスタイルと、その背景にある国の政策について伺ってみました。

デンマークでは、最低時給が約2000円程度で決まっており、それもあってか、残業はあまりしないのだそうです。退社は午後4時から5時くらいなのだそうです。

仕事以外の時間が、比較的たっぷりあるので、自宅で過ごす時間は長いとのお話しでした。外食はほとんどせず、出かけるときは、友人宅訪問、映画館、劇場での観劇、サイクリング、スカッシュなどが多いそうです。 夏休みには、3週間の休暇があり、Kさんはその間、決まってデンマーク最古の都市の一つである「オーデンセ」という街で過ごす、とのことでした。 また、DIYで住み手が自宅を工事することは、ごく一般的なことだとのお話でした。

Kさんのお宅の購入時価格を伺ったところ、日本でいうと、平均年収の倍以上の収入がある、経済的に余裕のあるサラリーマンが、ローンを組んで買える限界といわれる程度の価格で、決して安くはありません。 東京で、その価格のマンションだと、1階と2階の外壁は天然石貼、オートロックの豪華なエントランスホール、エレベーターは当たり前、という感覚です。

K邸をはじめとする、この地区の建物には、豪華なエントランスホールや、天然石貼の壁、エレベーターはありません。さすがに200年を超えた木造建築だけに、床も若干傾いているところがあります。(一方、日本では床が傾いている状態は、売買される商品としての住宅に限っては、許容されにくいように思います。) そのかわりに、1798年の建物が街区ごと生かされていて、どの建物も半地下は素敵なお店です。共用エントランス前には、商品ですが、可愛い小物が飾られています。

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写真:近隣建物のエントランス前。わらで作ったしめ縄のようなトナカイをはじめ、可愛い小物が楽しげです。

新しいものを大量に供給、消費することがいいことなのかどうか、考えさせられるお話でした。

なお、Kさんは車を所有していないそうで、その点は国の政策も関係しているようです。(車はぜいたく品として課税されており、国民による車の大量保有を奨励する政策ではないとのお話でした。)

一方で、自転車については、コペンハーゲン市内には片側3車線(?)の、立派な自転車専用道が整備されているのを見て、驚きました。(自転車道については、別の回であらためて触れたいと思います。) 市内の自転車専用道は、10年前から整備が始まったそうです。朝8時、夕方4時には、実に壮観な、自転車での通勤ラッシュ・子供の送迎ラッシュを目撃しました。自動車用の車線数を犠牲にして、片側3車線の自転車道を整備するとは、全く意表を突かれ思いでした。 Kさんのようなライフスタイルは、コペンハーゲンでは決して珍しいものではなさそうです。

振り返ってみると、当時の私は毎日遅くまで残業し、休みの日も自宅での持ち帰り仕事に追われ、友人と会ったり観劇に行くどころではありませんでした。今思うと、それは持続可能なライフスタイルとはいえないものでした。料理もほとんどできず、味の濃い外食ばかりしており、DIYなど思いもよらない生活をしていました。

そんなこともあって、その日はKさんのお話に、政策、街、建物、ライフスタイル、価値観など、多くの面で衝撃を受けました。素敵なリビングルームで、美味しい紅茶をご馳走になったあと、お部屋の写真を撮らせて頂き、私たちは訪問を終えたのでした。

(おわり)